計算・上限

ふるさと納税と障害者控除|上限はどれだけ下がるか

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最終確認日:2026-09-05

ふるさと納税の上限額シミュレーションには、「障害者控除」を入れる欄が見当たらないものがあります。自分や家族に障害者手帳があるのに、入力できるのは年収と家族構成だけ。出てきた金額をそのまま信じていいのか分からず、手が止まってしまう人は少なくありません。

結論から言うと、障害者控除がある人のふるさと納税の上限は、控除を入れずに計算した金額より下がります。金額としては年5,000円〜1万円ほどの幅で動くことが多く、去年と同じ感覚で寄付すると上限超えになりかねません。

この記事では、よくある疑問を5つの質問に整理して、国税庁と自治体の公式情報をもとに順番に答えていきます。

先に押さえる|障害者控除は3種類、金額は所得税と住民税で違う

障害者控除は1種類ではなく、区分によって金額が変わります。しかも所得税と住民税で金額が違います。ふるさと納税の上限に効いてくるのは主に住民税のほうなので、右の列が本題です。

区分所得税の控除額住民税の控除額
障害者(一般)27万円26万円
特別障害者40万円30万円
同居特別障害者75万円53万円

所得税の金額は国税庁のタックスアンサー「No.1160 障害者控除」に、住民税の金額は新宿区の「住民税の障害者控除・非課税」のページに記載されています(いずれも2026-09-05確認)。

対象になるのは、国税庁のページによると「納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合」です。本人だけの制度ではなく、家族が対象でも寄付する本人が控除を受けられるという点が、後の質問にも効いてきます。

なお、どの区分にあたるかは手帳の等級などで決まります。自分がどれに該当するかの判定は、この記事ではできません。 国税庁のページの要件一覧か、お住まいの自治体の税務担当窓口でご確認ください。

Q1. 障害者控除があると、上限はどれくらい下がる?

目安として、一般の障害者控除で年5,200円ほど、同居特別障害者なら1万円ほど上限が縮む計算になります。 なぜそうなるのかを、仕組みから順に説明します。

総務省のふるさと納税ポータルサイトによると、ふるさと納税の控除は3つに分かれています(2026-09-05確認)。

  • 所得税からの控除 = (ふるさと納税額−2,000円)×所得税の税率
  • 住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額−2,000円)×10%
  • 住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率)

そして3つ目の特例分には天井があります。同じページには、特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は「(住民税で控除できる額)×20%」で計算し、その場合は3つを合計しても全額は控除されず、実質負担が2,000円を超えると明記されています(2026-09-05確認)。

つまり「実質2,000円で寄付できる金額」の天井は、住民税所得割額の20%の枠でほぼ決まります。ここに障害者控除が重なると、こうなります。

  1. 障害者控除で、住民税の計算のもとになる所得が26万円(区分により30万円・53万円)減る
  2. 住民税の所得割額が減る
  3. 所得割額の20%である特例分の枠も、一緒に縮む
  4. 実質2,000円で寄付できる上限額が下がる

住民税の所得割の税率を10%として単純に計算すると、下がり幅の目安は次のようになります。

区分住民税の控除額所得割の減少(10%で計算)上限が縮む目安(その20%)
障害者(一般)26万円約2万6,000円約5,200円
特別障害者30万円約3万円約6,000円
同居特別障害者53万円約5万3,000円約1万600円

この表は仕組みから逆算した目安です。 実際の金額は他の所得控除や調整控除の影響で変わりますし、所得税の税率によっても動きます。正確な金額は必ずご自身の条件でシミュレーションしてください。当サイトの控除上限計算機でも、寄付の前に目安を出せます。

税負担そのものは軽くなっているので、損をしているわけではありません。**「税金は減ったが、ふるさと納税で使える枠も一緒に狭くなった」**という二段構えが、分かりにくさの正体です。この構造は、子どもの年齢でふるさと納税の上限は下がる|16歳と19歳で説明した扶養控除の場合とまったく同じです。

Q2. 家族が障害者の場合、寄付する本人の上限は下がる?

下がります。しかも、扶養控除の対象にならない16歳未満の子でも下がります。

国税庁のタックスアンサー「No.1160 障害者控除」には、はっきりこう書かれています(2026-09-05確認)。

「障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。」

ここは見落とされやすいところです。16歳未満の子どもは扶養控除の対象外なので、上限の計算では「子どもの人数は関係ない」と説明されることがあります。ところが障害者控除は年齢の制限なく使えるため、16歳未満の子に手帳がある場合は、扶養控除がゼロでも障害者控除の分だけ住民税が下がり、その結果ふるさと納税の上限も下がります。

さらに、同居している場合は上乗せがあります。特別障害者にあたる同一生計配偶者や扶養親族と同居しているときは「同居特別障害者」の区分になり、住民税の控除額は53万円です。Q1の表のとおり、上限が縮む目安は1万円ほどに広がります。

夫婦どちらが子どもを扶養に入れるかで、どちらの上限が下がるかも変わります。共働きで名義を迷っている場合は、共働き夫婦のふるさと納税|名義と上限のルールを解説もあわせて確認してください。

ふるさと納税 | 障害者控除がある場合

自分がどの状況にいるかで、判断が変わります

まず住民税が課税されているかを確認してから、上限の話に進みます

住民税の課税ふるさと納税の上限
本人が障害者・合計所得135万円以下 非課税のライン × 住民税は非課税 × 寄付しても税金は戻らない
本人が障害者・上のラインを超える 控除を入れて計算 ○ 住民税がかかる △ 控除のぶん上限は下がる
家族が障害者(本人は非該当) 16歳未満の子も対象 ○ 住民税がかかる △ 家族の分の控除で上限が下がる
  • ※判定はいずれも合計所得金額で行います(給与収入の額そのものではありません)
  • ※下がり幅は仕組みから逆算した目安です

ふるさとくらべ

Q3. 障害年金は「年収」に入れて計算していい?

入れません。 シミュレーションに入力する年収に障害年金を足すと、実際より高い上限が出てしまいます。

日本年金機構の年金Q&Aには、こう明記されています(2026-09-05確認)。

「障害年金や遺族年金は、所得税および復興特別所得税の課税対象となっていないため(非課税)、障害年金や遺族年金を受けている人には、公的年金等の源泉徴収票は送付されません。」

住民税についても、羽村市の公式FAQに「児童手当・児童扶養手当・遺児手当・遺族年金・障害年金は課税の対象外です」とあります(2026-09-05確認)。

課税の対象外である以上、所得税や住民税の計算には入らず、ふるさと納税の上限を押し上げることもありません。上限の計算に使うのは、あくまで課税される所得です。「家に入ってくるお金」の感覚で見積もると上限超えの原因になるので、ここは切り分けてください。

障害者手当や特別障害者手当など他の給付についても、課税されるかどうかは給付の種類ごとに決まります。判断に迷うものは、お住まいの自治体の税務担当窓口にご確認ください(個別の給付の扱いは本記事では未確認)。

Q4. 住民税が非課税だと、ふるさと納税はどうなる?

寄付した金額はそのまま自己負担になります。 ここが、障害者控除がある人にとっていちばん大事な確認事項です。

新宿区の「住民税の障害者控除・非課税」のページには、「納税者本人が障害者で前年の合計所得金額が135万円以下の場合、非課税となります」と記載されています(2026-09-05確認)。障害者・未成年者・寡婦・ひとり親には、一般の非課税基準とは別に、この合計所得135万円以下という基準が置かれています。

ふるさと納税の控除は、Q1で見たとおり納める所得税・住民税から差し引く仕組みです(総務省・2026-09-05確認)。差し引く先の税金がなければ、差し引きようがありません。つまり住民税が非課税なら、「実質2,000円」にはならず、寄付額が全額そのまま持ち出しになります。

寄付が禁止されているわけではなく、返礼品も届きます。応援したい自治体への純粋な寄付として納得のうえで行うなら選択肢になりますが、節約目的なら向きません。

なお、この135万円は給与や年金の額面ではなく合計所得金額です。給与収入に換算するといくらになるかは、その年度の給与所得控除の額によって変わります。給与収入での目安は本記事では断定しません(未確認)。 お住まいの自治体が公表している最新の非課税基準の案内をご確認ください。

Q5. ワンストップ特例は使える?

障害者控除があること自体は、ワンストップ特例の妨げになりません。

総務省のページによると、ワンストップ特例が使えるのは「ふるさと納付を行う個人が、その年の給与所得者である場合」で、「ふるさと納付を行う先の団体数が5団体以内である場合」です。申請は「翌年の1月10日までに、寄付先団体へ確認書を提出する必要があります」と案内されています(2026-09-05確認)。

障害者控除は、確定申告をしなくても勤務先の年末調整で反映できる控除です。新宿区のページにも「所得税の確定申告や給与所得者の年末調整で、障害者控除の手続(申請)が済んでいる場合等は申告する必要はありません」とあります(2026-09-05確認)。医療費控除のように「必ず確定申告」となる控除ではないため、会社員で寄付先が5自治体以内なら、ワンストップ特例のままで問題ありません。

ただし、次のどれかに当てはまる年は確定申告が必要になり、ワンストップ特例は使えなくなります。

  • 医療費控除を受ける
  • 寄付先が6自治体以上になった
  • 個人事業主・不動産所得があるなど、もともと確定申告をする

医療費がかさんだ年は、医療費控除とふるさと納税の関係も絡んできます。詳しくはふるさと納税と医療費控除は併用OK?上限が下がる仕組みと申告手順にまとめています。

また、ワンストップ特例を申請したあとで確定申告をすると、先に出したワンストップの申請は無効になります。この場合は確定申告書に寄附金控除を必ず書き入れてください。手順はワンストップ特例の後に確定申告すると無効?正しい直し方で解説しています。

上限の目安を出してから、寄付先を選ぶ

ここまでを踏まえると、障害者控除がある人が寄付の前にやることは3つです。

  1. 住民税が課税されているかを確認する(本人が障害者で合計所得135万円以下なら非課税)
  2. 障害者控除を入れた条件で、上限の目安を出す
  3. 目安が出てから、その金額の範囲で寄付先・返礼品を選ぶ

順番が逆になり、返礼品を先に決めてしまうと、金額のほうを合わせに行きたくなります。上限を先に確定させておくほうが、結果的に落ち着いて選べます。

よくある質問(FAQ)

Q. シミュレーションに「障害者控除」の欄がありません。どうすればいいですか

簡易版のシミュレーションでは、障害者控除を反映できないものがあります。 その場合に出てくる金額は、実際の上限より高めになります。多くのポータルには社会保険料や各種控除を1つずつ入力する詳細版が用意されているので、そちらに切り替えて「その他の所得控除」などの欄に障害者控除の額を入れてください。シミュレーターごとに結果がずれる理由はふるさと納税の上限額|サイトで結果が違う理由で解説しています。

Q. 年の途中で手帳が交付されました。今年から控除の対象になりますか

この記事では断定しません(未確認)。 交付日と年末時点の状況のどちらで判定するか、また申請中の場合の扱いについて、公式情報で確定できませんでした。年の途中で状況が変わった年は、勤務先の年末調整の担当者か、お住まいの自治体の税務担当窓口にご確認ください。その年から控除の対象になるかどうかで、今年の上限は5,000円ほど変わります。 寄付の金額を決める前に確認しておくと安心です。

Q. 障害者控除を使わずに寄付すれば、上限は下がらないのでは?

控除を使わない選択には意味がありません。 障害者控除で減る税金のほうが、ふるさと納税の枠が縮むことによる目減りよりはるかに大きいためです。一般の障害者控除なら、住民税だけで2万6,000円ほどの所得が控除の対象から外れ、そこに所得税の27万円分の控除も加わります。一方で縮む枠は5,200円ほどで、しかも枠が縮んでも自己負担が増えるわけではありません(上限内で寄付するかぎり自己負担は2,000円のままです)。控除は必ず申告してください。

Q. 去年と同じ金額を寄付しても大丈夫ですか

手帳の交付や区分の変更があった年は、危ないです。 上限が5,000円〜1万円ほど下がっている可能性があるためです。去年ぎりぎりまで寄付していた人は、その差額がそのまま上限超えになります。上限を超えた分がどうなるかはふるさと納税で上限を超えたらどうなる?損する仕組みと対処法にまとめています。

Q. 施設に入所している親を扶養に入れています。同居特別障害者になりますか

この記事では断定しません(未確認)。 同居特別障害者にあたるかどうかは同居の実態で判定されますが、施設入所中の扱いは入所先の種類や期間によって考え方が分かれるため、公式情報で確定できませんでした。所轄の税務署か、お住まいの自治体の税務担当窓口にご確認ください。同居の上乗せがあるかどうかで、住民税の控除額は30万円と53万円で変わり、上限の下がり幅も倍近く違います。 ここを思い込みで決めないことが大事です。親を扶養に入れたときの上限への影響は親を扶養に入れるとふるさと納税の上限は下がる|70歳の境目も参考にしてください。

まとめ|押さえるのはこの4つ

  • まず住民税が課税されているかを確認する。本人が障害者で前年の合計所得金額が135万円以下なら住民税は非課税で、寄付しても税金は戻らない
  • 住民税の障害者控除は一般26万円・特別30万円・同居特別53万円(所得税は27万円・40万円・75万円)。控除が増えるぶん住民税所得割が減り、特例分の20%枠も縮む
  • 上限が縮む目安は、仕組みからの単純計算で一般5,200円・特別6,000円・同居特別1万600円。手帳の交付や区分が変わった年は、去年と同じ額の寄付は危ない
  • 障害年金は課税の対象外なので、上限計算に使う年収には含めない。また障害者控除は年末調整で処理できるため、ワンストップ特例はそのまま使える

障害者控除は、シミュレーションの入力欄からこぼれ落ちやすい一方で、上限額にはっきり効いてきます。寄付の前に、詳細版のシミュレーションか控除上限計算機で自分の数字を出しておいてください。

※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-09-05)。最新は総務省・各ポータル公式でご確認ください。本記事は制度の一般的な仕組みを解説するものであり、個別の税務判断を行うものではありません。障害者控除の区分の判定や、正確な控除額・上限額は、源泉徴収票をもとにした詳細シミュレーションや、お住まいの自治体・税務署・税理士にご確認ください。

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