計算・上限

親を扶養に入れるとふるさと納税の上限は下がる|70歳の境目

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最終確認日:2026-09-04

親を扶養に入れると、その年の税金は確実に軽くなります。ところが同時に、ふるさと納税で自己負担2,000円に収まる寄付額の上限も下がります。

理由はシンプルで、ふるさと納税の上限は「あなたが納める住民税の額」に連動して決まるからです。扶養控除で住民税が減れば、上限もその分だけ縮みます。去年と同じ感覚で寄付すると、はみ出した分がまるごと自己負担になりかねません。

この記事は、親の年齢・同居かどうか・親の年金額という3つの軸で、控除額と上限への影響を表で並べたものです。数値はすべて国税庁・総務省・自治体の公式情報で確認した日付つきで載せています。なお本記事は制度の一般的な説明であり、個別の税務判断ではありません。自分の金額は源泉徴収票をもとにした詳細シミュレーションや、お住まいの自治体・税理士でご確認ください。

早見表1|親の年齢と同居で、控除額はこう変わる

扶養控除の額は「その年12月31日時点の親の年齢」と「同居かどうか」の2つで決まります。所得税と住民税で金額が違う点に注意してください。

親の状況(12月31日時点)所得税の控除額住民税の控除額
70歳未満(一般の控除対象扶養親族)38万円33万円
70歳以上・同居していない(老人扶養親族)48万円38万円
70歳以上・同居している(同居老親等)58万円45万円

所得税側の金額は国税庁タックスアンサーNo.1180、住民税側は大阪市の公式ページで確認しました(いずれも2026-09-04確認)。

「同居老親等」に当たるのは、あなた本人またはあなたの配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)で、普段同居している人です(国税庁No.1180 注4)。つまり配偶者の親と同居している場合も対象になります。

そして、ふるさと納税の上限に直接効いてくるのは右側の住民税の列です。

早見表2|親の年金がいくらまでなら扶養に入るか

そもそも親を扶養に入れられるかは、親の「合計所得金額」で決まります。要件は次の4つすべてです(国税庁No.1180・2026-09-04確認)。

  1. 配偶者以外の親族であること
  2. あなたと生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が58万円以下であること
  4. 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

3番目の金額は、令和7年度の税制改正で48万円以下から58万円以下に引き上げられました。所得税は令和7年分から、個人住民税は令和8年度分からの適用です(国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」、東京都中央区の公式ページ・2026-09-04確認)。去年の記事や早見表を見ると48万円のままのことがあるので、そこは読み替えてください。

年金収入から合計所得を出すには、公的年金等控除を差し引きます。

親の年齢年金収入差し引く額(公的年金等控除)
65歳未満130万円以下60万円
65歳以上330万円以下110万円

(東大阪市の個人住民税の公式ページ・2026-09-04確認。年金以外の所得の合計が1,000万円以下の場合)

ここから逆算すると、年金だけで暮らす親なら、65歳以上で年金収入168万円以下、65歳未満で118万円以下が扶養に入れる目安になります(58万円+控除額。当サイトによる計算・目安)。

なお、遺族厚生年金や遺族基礎年金は非課税所得なので、この合計所得金額には含めません(国税庁No.1180 Q6・2026-09-04確認)。遺族年金が年120万円あっても、他に所得がなければ合計所得金額はゼロという扱いです。ここを収入に数えてしまい「うちの親は無理」と諦めるケースは少なくありません。

別居していても対象になる|ただし「同居」の上乗せは別

「生計を一にする」は同居が条件ではありません。国税庁は、勤務・修学・療養などの都合で別居していても、常に生活費や療養費の送金が行われている場合は「生計を一にする」ものとして取り扱うとしています(No.1180 Q1、所得税基本通達2-47・2026-09-04確認)。仕送りしている親は、離れて暮らしていても扶養控除の対象になり得ます。

一方で「同居老親等」の上乗せ(所得税58万円・住民税45万円)は、同居していることが条件です。判定でよく迷う2つのケースについて、国税庁は次のように示しています。

親の扶養|住まいの状況で何が変わるか

離れて暮らす親は、扶養控除の対象になるか

「扶養控除そのもの」と「同居老親等の上乗せ」は別々に判定します

扶養控除の対象同居老親等の上乗せ
同居している 同一の家屋に起居 ○ 対象になる ○ 対象になる
別居+常に生活費を送金 仕送りの事実が必要 ○ 対象になる × 対象外
病気の治療で長期入院 1年以上でも可 ○ 対象になる ○ 同居として扱ってよい
老人ホーム等に入所 ホームが居所になる △ 生計を一にしていれば対象 × 同居とはいえない
  • ※国税庁タックスアンサーNo.1180の注記および質疑応答事例「「同居」の範囲(長期間入院している場合)」(2026-09-04確認)
  • ※個別の判定は税務署にご確認ください

ふるさとくらべ

入院は同居のまま、老人ホームは同居ではない。この差で住民税の控除額が45万円と38万円に分かれます。親が施設に入った年は、ここが変わっていないか確認してください。

なぜ扶養に入れると上限が下がるのか

ふるさと納税で自己負担2,000円に収まる仕組みは、総務省の公式ページで次のように整理されています(2026-09-04確認)。

  • 所得税からの控除=(寄付額-2,000円)×所得税の税率
  • 住民税からの控除(基本分)=(寄付額-2,000円)×10%
  • 住民税からの控除(特例分)=(寄付額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)
  • ただし特例分は「住民税の所得割額の2割」を超えられない

上限の正体は、最後の一文です。住民税の所得割額の2割という天井があり、そこを超えて寄付した分は3つの控除を足しても全額が戻らず、自己負担が2,000円を超えます。

扶養控除は所得控除なので、住民税の課税所得を直接減らします。所得割の税率は都民税4%+区市町村民税6%の合わせて10%です(東京都主税局・2026-09-04確認)。つまり住民税の控除額が45万円なら所得割は約4万5,000円減り、その2割ぶんだけ天井が下がる、という関係になります。

親の状況住民税の課税所得が減る額所得割が減る額(税率10%)上限の目安が下がる額
70歳未満33万円約3万3,000円約8,000〜1万円
70歳以上・別居38万円約3万8,000円約9,000〜1万1,000円
70歳以上・同居45万円約4万5,000円約1万1,000〜1万4,000円

右端の列は、上の総務省の計算式から当サイトが試算した目安です(所得税率5〜23%の範囲で計算)。実際の金額は年収・他の控除・お住まいの自治体で変わります。この表は「おおよそ1万円前後動く」という感覚をつかむためのものと考えてください。

「扶養に入れないほうが得」ではない

上限が下がると聞くと損に感じますが、扶養に入れるかどうかで比べれば、入れたほうが手元に残るお金は大きくなります。

たとえば70歳以上の親と同居して扶養に入れた場合、所得税の課税所得が58万円、住民税の課税所得が45万円減ります。所得税率10%の人なら所得税で約5万8,000円、住民税で約4万5,000円、合わせて10万円前後の税負担が軽くなる計算です(当サイトの試算・目安。復興特別所得税は考慮していません)。

一方でふるさと納税の上限が下がる額は、先ほどの表のとおり1万円台です。しかも上限が下がっても、その範囲内で寄付すれば自己負担は2,000円のままで、返礼品がもらえなくなるわけではありません。

つまり本当のリスクは「扶養に入れること」ではなく、上限が下がったことに気づかず、去年と同じ額を寄付してしまうことです。この場合、はみ出した分は控除されずそのまま自己負担になります(詳しくは上限を超えたらどうなるかをご覧ください)。

上限の目安を出してから、寄付先を選ぶ

親を扶養に入れた年、または今年から入れる予定の年は、寄付を始める前に必ず上限を計算し直してください。順番は次の3ステップです。

  1. 12月31日時点の親の年齢と住まいを確定させる(年内に70歳になる、年内に施設へ入る、といった予定も含めて)
  2. 今年の自分の年収の見込みを出す(→上限はいつの年収で決まるか)
  3. 扶養親族の人数・区分を入れて上限を計算する(当サイトの控除上限額の計算機で目安を出せます)

計算機は扶養の条件を入れて目安を出すためのものです。最終的な金額は、源泉徴収票が出たあとに詳細シミュレーションで確認するか、自治体・税理士にご相談ください。

見落としやすい3つのこと

1. 兄弟で重複して扶養に入れることはできない 親に仕送りしている兄弟が複数いても、扶養控除の対象にできるのはそのうち1人だけです。均等に送金していても重複はできません(国税庁No.1180 Q5・2026-09-04確認)。誰が入れるかで、双方のふるさと納税の上限が変わります。年内に話し合っておくのが安全です。

2. 年齢はすべて12月31日時点で判定する 70歳になるのが12月30日でも、その年は老人扶養親族として扱われます。逆に1月1日生まれで年明けに70歳になる場合、その年は一般の扶養親族です(国税庁No.1180 注3)。

3. 健康保険の「扶養」とは別物 税の扶養と健康保険の被扶養者は判定基準が違います。協会けんぽの被扶養者認定の基準額は年間収入130万円(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)です(協会けんぽ公式・2026-09-04確認)。税で扶養に入れられるかどうかと、健康保険で被扶養者になれるかどうかは、別々に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 年の途中で親を扶養に入れた場合、控除は月割りになりますか? なりません。扶養親族に当たるかどうかはその年の12月31日の現況で判定します(国税庁No.1180・2026-09-04確認)。12月に要件を満たせば、その年は満額の扶養控除が使えます。したがって、ふるさと納税の上限への影響もその年から出ます。

Q2. 年末調整に間に合わなかったら、ふるさと納税はどうなりますか? 扶養控除を確定申告で追加すると、その分だけ課税所得が減ります。ふるさと納税の控除もその確定申告のなかで計算されるので、上限を超えていた場合の自己負担は増えます。年末調整に間に合わないと分かった時点で、寄付額を上限内に収めておくのが安全です。なお、確定申告をするとワンストップ特例は無効になります(→ワンストップ特例のあとに確定申告する場合)。

Q3. 親の年金が180万円あります。扶養に入れられますか? 65歳以上で年金収入180万円なら、公的年金等控除110万円を引いた合計所得金額は70万円です。58万円を超えるため、他に所得がなくても扶養控除の対象にはなりません(当サイトの計算・目安)。ただし遺族年金は非課税で合計所得に含まれないため、年金の種類を確認してください。

Q4. 上限が下がった分、返礼品の質を落とすしかないのでしょうか? 寄付額を下げる必要はありますが、選び方の幅が狭まるわけではありません。ふるさと納税は1回の寄付額が数千円台の返礼品も多く、上限に合わせて件数や金額を組み替えるのが基本の対処です。上限を超えた分は控除されないため、無理に去年と同じ額を寄付する意味はありません。

まとめ|押さえるのはこの4つ

  • 親を扶養に入れると住民税が減り、その分ふるさと納税の上限も下がる(目安で1万円前後)
  • 扶養に入れること自体は税負担が10万円前後軽くなるので得。危ないのは去年と同じ額を寄付すること
  • 親の年金だけなら、65歳以上は168万円以下、65歳未満は118万円以下が扶養の目安。遺族年金は数えない
  • 入院は同居のまま、老人ホーム入所は同居ではない。施設に入った年は控除額が変わる

※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-09-04)。最新は総務省・国税庁・各ポータル公式でご確認ください。個別の税務判断については税務署・税理士にご相談ください。

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