ふるさと納税と医療費控除は併用OK?上限が下がる仕組みと申告手順
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最終確認日:2026-08-08
「医療費がたくさんかかった年だけど、ふるさと納税も併用していいの?」「両方やると損する、って本当?」
先に結論をまとめます。
- ふるさと納税と医療費控除は、同じ年に併用できます。
- ただし医療費控除を使うと、ふるさと納税の控除上限額は少し下がります(多くの場合、下がり幅は数千円〜1万円台)。
- そしてワンストップ特例は使えなくなり、両方まとめて確定申告することになります。
「併用できないのでは」と心配して片方をあきらめる必要はありません。ただし、寄付のしすぎと手続きの取り違えには注意が必要です。この記事では、その理由と正しい進め方を、総務省と各ポータル公式の情報をもとに整理します。
そもそも医療費控除とは?ざっくり整理
医療費控除は、1年間(1〜12月)に支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を所得から差し引ける制度です。差し引ける金額の計算式は次のとおりです。
医療費控除額 = 支払った医療費 − 保険金などで補填された金額 − 10万円 (※総所得金額等が200万円未満の人は「10万円」ではなく「総所得金額等の5%」) (出典:ふるさとチョイス「ふるさと納税と医療費控除」/2026-08-08確認)
たとえば1年間の医療費が30万円で、保険金の受け取りがなければ「30万円 − 10万円 = 20万円」が医療費控除額の目安になります。出産・入院・手術・歯の治療などがあった年は、この控除が使えることが多いです。
そして、この医療費控除を使うと必ず確定申告が必要になります。ここがふるさと納税との関係でいちばん大事なポイントです。
なぜ併用するとふるさと納税の上限が下がるの?
ふるさと納税の「実質2,000円」の仕組みは、寄付額から2,000円を引いた金額を、所得税・住民税から差し引く(控除する)ことで成り立っています。総務省の説明によると、控除は次の3つに分かれます。
- 所得税分:(寄附金額−2,000円)×所得税の税率
- 住民税の基本分:(寄附金額−2,000円)×10%
- 住民税の特例分:(寄附金額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率)
このうち特例分には「住民税所得割額の2割(20%)まで」という上限が定められています(出典:総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」/2026-08-08確認)。ふるさと納税の上限額が決まる、いちばんの土台がこの「所得割額の20%」です。
ここに医療費控除が関わってきます。医療費控除は「所得控除」なので、税率を掛ける前の段階で課税対象の所得を減らします。課税所得が減ると、それをもとに計算される住民税の所得割額も小さくなり、その20%という上限枠そのものも縮む——これが、併用するとふるさと納税の上限が下がる理由です(出典:ふるさとチョイス/2026-08-08確認)。
つまり「損する」というより、使える枠が少し狭くなると理解すると正確です。医療費控除で戻ってくる税金と、ふるさと納税の枠が少し減ること、その両方をあわせて考える必要があります。
上限はどれくらい下がる?(あくまで目安)
下がり幅は、医療費控除の金額とその人の所得税率によって変わります。ポータル公式が挙げている一例では、次のようなイメージです。
医療費控除額が23万円の場合、ふるさと納税の控除限度額の減額の目安はおよそ4,600〜10,350円。併用前の限度額が42,000円なら、併用後はおよそ31,650〜37,400円になる。 (出典:各ポータル公式のシミュレーション解説/2026-08-08確認)
医療費控除あり | ふるさと納税の上限
併用すると上限は「少し」下がる
下がり幅は医療費控除の額と所得税率しだい。金額はあくまで目安です
| ふるさと納税の枠 | ワンストップ特例 | 手続き | |
|---|---|---|---|
| 医療費控除を使わない年 通常どおり | ○ 通常の上限 | ○ 使える | ○ 申告不要にできる |
| 医療費控除を併用する年 確定申告が必要 | △ 少し下がる | × 使えない | △ 両方まとめて確定申告 |
- ※上限の下がり幅・金額は一例です。実際の金額は収入・家族構成・他の控除で変わります。
ふるさとくらべ
大切なのは「いくら下がるか」を正確に当てるより、下がることを前提に、寄付を少し控えめにしておくことです。前年と同じ感覚でギリギリまで寄付すると、上限オーバー分が自己負担になってしまいます。医療費が多くかかりそうな年は、寄付の前に必ず上限を計算し直しましょう。
いちばんの注意点:ワンストップ特例は使えなくなる
ここが取り違えやすいところです。医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。
ワンストップ特例は「確定申告をしない給与所得者が、申告なしで控除を受けられる」制度です。そのため、医療費控除で確定申告をするなら、ふるさと納税分もその確定申告の中で一緒に申告し直す必要があります。
よくある失敗が、「ワンストップの申請書を出したから安心」と思い込み、確定申告でふるさと納税を書き忘れるケースです。この場合、ふるさと納税の控除が受けられなくなってしまいます(気づいたら「更正の請求」で後から直すことは可能です)。ワンストップ特例そのものの仕組みは、下の「あわせて読みたい」の記事もあわせて確認してください。
併用する年の進め方(手順)
医療費控除とふるさと納税を併用する年は、次の順番で進めるとスムーズです。
- 寄付する前に上限を計算し直す:医療費控除で上限が下がることを見込んで、少し控えめの金額を目安にします。
- 寄付する(ワンストップ特例の申請書は出さなくてよい):どうせ確定申告するので、ワンストップの申請書は不要です。すでに出してしまっても、確定申告すれば自動的に無効になります。
- 書類をそろえる:ふるさと納税の「寄附金受領証明書」(またはポータルの寄附金控除に関する証明書)と、医療費の領収書・医療費控除の明細書を用意します。
- 確定申告で両方をまとめて申告する:確定申告書で、寄附金控除(ふるさと納税)と医療費控除の両方を記入します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、金額を入れるだけで自動計算されます。
医療費控除は所得を減らす処理が先に行われ、そのうえでふるさと納税の控除が計算されます。難しく考えず、必要な書類を全部そろえて一度の確定申告で出す——これが基本の流れです。
寄付する前に、まず自分の上限を確認しましょう
医療費が多くかかる年は、「例年と条件が違う年」です。前年の早見表や前年の寄付額をそのまま当てにすると、上限を超えてしまうおそれがあります。
当サイトの控除上限のかんたん計算機で今年の見込み収入をもとにおおよその目安を出し、そこから少し控えめの金額にしておくと安心です。医療費控除による下がり幅まで正確に知りたい場合は、各ポータルの詳細シミュレーション(医療費控除の入力欄があるもの)を使うか、自治体・税理士に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療費控除とふるさと納税、どちらを先に考えればいい? 医療費控除は「かかった医療費」で金額が決まるので動かせません。先に医療費控除の金額を把握し、そのうえでふるさと納税の上限を計算し直すのがおすすめです。
Q. ワンストップの申請書をもう出してしまいました。どうすれば? 確定申告をすればワンストップは自動的に無効になるので、あらためて確定申告でふるさと納税分も申告すれば大丈夫です。申告書に書き忘れないことだけ注意してください。
Q. 医療費控除があっても、ふるさと納税はやる価値がありますか? 上限内で寄付し、控除手続きをきちんと行えば「実質2,000円」で返礼品を受け取れる仕組みは変わりません。上限が少し下がる点を織り込んで、無理のない金額で寄付するかどうかを判断しましょう。
※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-08-08)。控除額・上限額はあくまで目安であり、個別の税務判断ではありません。正確な金額は源泉徴収票をもとにした詳細シミュレーションや、自治体・税理士でご確認ください。最新情報は総務省・国税庁・各ポータル公式でご確認ください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html (2026-08-08確認)
- ふるさとチョイス「ふるさと納税と医療費控除は併用できる?影響・計算方法・シミュレーションまで完全解説」 https://www.furusato-tax.jp/guide/furusato-nozei-iryohikojo (2026-08-08確認)