失業保険をもらった年のふるさと納税|上限は増えない
※本サイトの記事にはアフィリエイト広告(PR)を含む場合があります
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。制度の内容は変更される場合があります。最新情報は必ず公的機関・各ポータル公式の案内でご確認ください。
失業手当を受け取りながら「今年もふるさと納税をしていいのか」で止まる人は多いはずです。手当の振込があるぶん、収入があるように見えるからです。
この記事でわかることは3つです。
- 失業手当がふるさと納税の上限計算に入らない理由と、その根拠
- 上限が実質ゼロになる年の見分け方
- 年の途中で退職した人が、上限を出し直す手順と手続きの分かれ目
結論|失業手当は上限を1円も増やさない
失業手当(雇用保険の基本手当)は、ふるさと納税の控除上限額を計算するときの収入に入りません。年間で100万円受け取っても、上限は1円も増えないという意味です。
理由は、失業手当が税金のかからない給付だからです。ふるさと納税の控除は所得税と住民税から差し引く仕組みなので、そもそも課税されないお金は控除の枠を作れません。
判断は次の2段階です。
- 今年の課税される収入(給与・事業収入・年金など)が、失業手当を除いていくらあるか
- その収入で、住民税の所得割が発生するか
2番目がゼロなら、寄付をしても控除は戻ってきません。
ふるさと納税 | 退職した年の収入
上限の計算に入る収入・入らない収入
失業手当は課税されないため、控除の枠を作りません
| 上限計算への影響 | 課税 | |
|---|---|---|
| 退職までの給与 源泉徴収票の支払金額 | ○ そのまま計算に入る | ○ 所得税・住民税の対象 |
| 失業手当 雇用保険の基本手当 | × 入らない(増えない) | × 雇用保険法12条で課税されない |
| 退職金 分離課税 | △ 原則入らない | △ 課税だが所得割の対象外 |
- ※退職金の詳しい扱いは「退職した年のふるさと納税」の記事で解説しています
ふるさとくらべ
失業手当に税金がかからない根拠
根拠は雇用保険法の第12条です。条文は「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」。公課の禁止と呼ばれる規定です(厚生労働省の法令ページで2026-09-06に確認)。
国税庁も同じ説明をしています。確定申告書等作成コーナーのよくある質問には、雇用保険法にもとづく求職者給付について「同法第12条の規定により課税されないことになっています」と書かれています(2026-09-06確認)。配偶者控除の判定に使う合計所得金額にも入りません。
第12条が守る失業等給付は、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4種類です。基本手当だけでなく、早く再就職したときの再就職手当も課税されません。手当の名前が違っても、上限が増えない点は同じです。
傷病手当金・出産手当金も同じ扱い
健康保険から出る出産手当金は、健康保険法第62条により課税されないと国税庁が示しています(2026-09-06確認)。傷病手当金も同じ条文の対象です。
病気やけがで休んでいた年も、手当金の分だけ寄付できる枠が増えることはありません。給与が止まっていた月があるなら、上限はむしろ下がります。
上限が実質ゼロになる年の見分け方
ふるさと納税の控除は、大きく3つの部分でできています。総務省の説明では、所得税分は寄附金控除、住民税は基本分と特例分の2つです。基本分は「(寄附額 - 2,000円)× 10%」で計算します。特例分は残りを埋める部分で、住民税所得割額の20%が上限とされています(2026-09-06確認)。
つまり控除の土台は住民税の所得割です。所得割が出ない年は、特例分の枠がゼロになります。
所得割が出ないのは、たとえば次のような年です。
- 年の前半で退職し、その後は失業手当だけで過ごした
- 年の途中で退職し、その年の給与が住民税の非課税ラインを下回った
- 年明けから働いておらず、今年の課税される収入が失業手当だけになっている
非課税の基準額は自治体ごとに違います。自分の年が該当するかは、お住まいの市区町村の住民税の案内で確認してください。
失業のあとに生活保護を受ける場合は、翌年1月1日に生活扶助を受けているかで住民税の扱いが決まります。詳しくは生活保護中のふるさと納税の記事で整理しています。
このとき寄付そのものは制限されません。自治体は受け付けますし、返礼品も届きます。ただし税金からの控除がないので、寄付額の全部が自己負担になります。返礼品は寄附額より小さい価値に抑えられているため、金額だけを見れば持ち出しです。応援したい自治体があって納得しているなら別ですが、節約を目的にする年ではありません。
年の途中で退職した人|上限を出し直す手順
去年の源泉徴収票を使ってシミュレーションすると、上限を大きく読み違えます。退職した年は、その年に実際に受け取った給与だけで計算し直してください。
手順は3つです。
- 退職までの給与総額を確認する。退職時に会社から受け取る源泉徴収票の「支払金額」欄が、その年の給与収入です
- 失業手当と退職金を足さない。振込額の合計ではなく、源泉徴収票の数字だけを使います
- 年内に再就職したら、再就職後の給与を足す。転職先で年末調整を受ける場合は、そこで合算された金額が基準になります
社会保険料の扱いにも差が出ます。退職後に自分で払った国民年金保険料や国民健康保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。この控除が増えるぶん課税される所得が減るので、上限もその分だけ下がります。詳細版のシミュレーションには社会保険料の入力欄があるので、実際に払った額を入れて計算してください。
寄付の前に、控除上限計算機で自分の条件の目安を出しておくと、この後の判断が早くなります。
手続き|ワンストップ特例が使えないことがある
退職して年末調整を受けていない人は、確定申告をすると所得税が戻るケースが多くあります。給与から天引きされた所得税は、1年間働き続ける前提で計算されているためです。
ここが分かれ目です。国税庁の案内では、ワンストップ特例は確定申告が不要な給与所得者が対象で、寄付先が5団体以内の場合に限られます。そして確定申告をすると、出したワンストップ特例の申請は無効になります(2026-09-06確認)。
判断は次のとおりです。
- 還付を受けるために確定申告する → ワンストップ特例は使わず、寄附金控除も確定申告書に書く
- 確定申告をしない → ワンストップ特例が使える(5団体以内・翌年1月10日必着の期限は毎年同じ)
還付申告のつもりでいた人が、うっかりワンストップの申請書も出してしまう順番のミスが起きやすい場面です。申請書を出したあとに確定申告することになった場合は、寄附金控除を申告書に入れ忘れないでください。
上限の目安が出たら寄付先を選ぶ
課税される所得があり、上限の目安も出せたなら、次は寄付先を決める段階です。金額の枠を先に決めておくと、返礼品を見ながら足していっても超えません。
見落としやすい3つのこと
住民税の時期をずらして考える。今年の給与から天引きされている、または納付書で払っている住民税は、去年の所得に対するものです。今年寄付した分が反映されるのは、来年6月からの住民税です。「今年は住民税を払っているから控除される」という判断は成り立ちません。
扶養の判定は税と健康保険で基準が違う。税金の計算では、失業手当は合計所得金額に入りません。一方、健康保険の被扶養者になれるかどうかは税金とは別の基準で判定されます。配偶者の扶養に入る話をするときは、どちらの話をしているかを分けてください。
受給中でも寄付の申し込み自体は自由。ハローワークへの届け出が必要になるのは働いて収入を得た場合で、寄付は届け出の対象ではありません。控除が受けられるかどうかとは別の問題です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 失業手当を年間120万円もらいました。上限は増えますか。
増えません。失業手当は雇用保険法12条により課税されないため、上限の計算に使う所得に含まれません。給与が別にあるなら、その給与だけで計算します。
Q2. 今年は給与がゼロで失業手当だけです。寄付しても意味がないですか。
税金の控除という意味では戻りがありません。所得税も住民税の所得割も発生しないため、寄付額の全額が自己負担になります。自治体を応援する目的なら寄付は可能です。
Q3. 配偶者の名義で寄付すれば控除されますか。
寄付する人と控除を受ける人は同じである必要があります。配偶者に課税される所得があるなら、配偶者本人の名義・本人のカードで寄付します。その場合は配偶者の上限の範囲で控除されます。自分の名義で寄付して配偶者の税金から引くことはできません。
Q4. 再就職手当も上限に入りませんか。
入りません。再就職手当は雇用保険法10条の就職促進給付にあたり、失業等給付として第12条の対象になります。
Q5. 退職金があるので上限が増えると聞きました。
退職金は他の所得と分けて計算される仕組みで、住民税の所得割の対象にはなりません。上限を押し上げる効果は原則ありません。詳しくは退職した年の記事で解説しています。
まとめ|押さえるのはこの4つ
- 失業手当・再就職手当・傷病手当金・出産手当金は課税されない。どれだけ受け取っても、ふるさと納税の上限は増えない
- 控除の土台は住民税の所得割。所得割がゼロの年は特例分の枠もゼロで、寄付額はそのまま自己負担になる
- 退職した年は、その年の給与だけで計算し直す。去年の源泉徴収票を使うと上限を読み違える
- 還付のために確定申告をするなら、ワンストップ特例は無効。寄附金控除も申告書に書く
失業手当の期間は、収入の入り方も税金のかかり方も普段の年とは違います。金額を決める前に、詳細版のシミュレーションか控除上限計算機で今年の数字を出してください。
※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-09-06)。最新は総務省・各ポータル公式でご確認ください。本記事は制度の一般的な仕組みを解説するものであり、個別の税務判断を行うものではありません。住民税が非課税になるかの判定や、正確な控除額・上限額は、源泉徴収票をもとにした詳細シミュレーションや、お住まいの自治体・税務署・税理士にご確認ください。
あわせて読みたい
- 退職した年のふるさと納税|退職金で上限は増えない — 退職金が別扱いになる理由と、年内再就職の場合の考え方
- 転職した年のふるさと納税は?上限と手続きを状況別に解説 — 年内に再就職した人が使う源泉徴収票と年末調整の順番