計算・上限

生活保護中にふるさと納税はできる?控除ゼロの理由と1月1日の境目

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生活保護を受けている人も、ふるさと納税の申し込みそのものはできます。ただし、生活扶助を受けている年度は住民税が非課税です。控除はほぼ受けられず、寄付額のほとんどが自己負担になります。 分かれ目は「翌年1月1日の時点で生活扶助を受けているかどうか」です。

「生活保護 ふるさと納税」で調べると、数年前の記事や質問サイトの回答が上位に並びます。根拠の条文や、年の途中で状況が変わるケースまで書いたページは見当たりませんでした。この記事でわかることは3つです。

  • 生活保護を受けている人の控除がゼロになる理由と、その根拠の条文
  • 1月1日の境目と、年の途中で受給が始まった・終わった場合の扱い
  • すでに寄付してしまった人が確認すること

結論|生活扶助を受けている年度は控除ゼロ

生活扶助を受けている人は、ふるさと納税をしても住民税からの控除を受けられません。控除を差し引く相手の住民税が、もともとかかっていないからです。

ふるさと納税の控除は「払うはずの税金から差し引く」仕組みです。総務省の説明では、控除は次の3つで構成されます(2026-09-26確認)。

控除の種類計算式(総務省の説明)
所得税(寄付額−2,000円)×所得税の税率
住民税・基本分(寄付額−2,000円)×10%
住民税・特例分(寄付額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率)

住民税の特例分には「住民税の所得割額の2割まで」という上限もあります。住民税の所得割がゼロなら、上限もゼロです。控除の大部分を占める住民税の枠が、生活扶助を受けている年度には存在しません。

住民税が非課税になる根拠の条文

住民税の非課税は、地方税法に書かれています。市町村民税は第295条第1項第1号、道府県民税は第24条の5第1項第1号が根拠です(e-Gov法令検索で2026-09-26確認)。どちらも「生活保護法の規定による生活扶助を受けている者」には住民税を課すことができないと定めています。

非課税の範囲は、所得割と均等割の両方です。住民税の通知書が届かない、または税額が0円になっているのは、この条文によるものです。

生活保護費そのものにも税金はかかりません。生活保護法第57条は「被保護者は、保護金品(中略)を標準として租税その他の公課を課せられることがない」と定めています。保護費は、ふるさと納税の上限を計算するときの収入にも入りません。

1月1日の時点で生活扶助を受けているかが境目

住民税の課税・非課税は、その年度の1月1日時点の状況で決まります。地方税法第318条が「個人の市町村民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする」と定めているためです。

ふるさと納税の控除は、寄付した年の翌年度の住民税から差し引かれます。2026年に寄付した分は、2027年度の住民税が対象です。つまり2027年1月1日に生活扶助を受けているかどうかで、2026年の寄付の控除が決まります。

東京都町田市の案内も「1月1日現在、生活保護法の規定による生活扶助を受けている方」を非課税としています(2026-09-26確認)。同じページで「1月2日以降に生活保護法の規定による生活扶助を受けるようになった場合は対象外」とも明記しています。

医療扶助だけを受けている場合

条文で非課税になるのは「生活扶助」を受けている人です。医療扶助や住宅扶助など、ほかの扶助だけを受けている人は、この条文の非課税にはあたりません。自分がどの扶助を受けているか迷ったら、担当のケースワーカーに確認してください。

年の途中で受給が始まった・終わった場合

年の途中で状況が変わると、控除が受けられるかどうかも変わります。パターン別に整理しました。

状況寄付した年の翌年度の住民税ふるさと納税の控除
1年を通して生活扶助を受けている非課税受けられない
年の途中で受給が始まり、翌年1月1日も受給中非課税住民税分は受けられない
年の途中で受給が終わり、翌年1月1日は受給していない就労などの所得しだいで課税所得があれば受けられる
翌年1月2日以降に受給が始まった課税のまま(減免の対象になる場合あり)市区町村の減免の扱いで変わる

寄付したあとで受給が始まったケース

働いていた時期に寄付し、その年の終わりまでに生活扶助が始まったケースでは、住民税からの控除が消えます。所得税の分だけは、確定申告をすれば戻る可能性があります。

計算例で確かめます。前提は、寄付額3万円・所得税率5%・住民税の特例分が上限に収まる場合です。

項目住民税が課税される場合翌年1月1日に生活扶助を受けている場合
所得税からの控除約1,429円約1,429円(確定申告した場合)
住民税からの控除約26,570円0円
自己負担約2,000円約28,571円

所得税の控除は、復興特別所得税を含めて(30,000円−2,000円)×5%×1.021で約1,429円です。この金額が戻るのは、その年に所得税を源泉徴収などで払っている場合に限られます。

ワンストップ特例だけで済ませると、所得税の分も戻りません。 ワンストップ特例は、所得税の分も含めて翌年度の住民税からまとめて差し引く仕組みだからです。住民税が非課税になる見込みで、その年に所得税を払っている人は、確定申告で寄附金控除を申告します。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になります。

受給が年の途中で終わったケース

生活扶助が年の途中で終わり、翌年1月1日には受給していない場合、その年の就労などの所得に住民税がかかる可能性があります。住民税がかかるなら、ふるさと納税の控除も受けられます。

ただし上限の計算に入るのは、給与や事業収入などの課税される所得だけです。その年に受け取った保護費は収入に入れずに計算します。 年の途中から働き始めた人は、1〜12月の給与の見込みだけで上限を出します。

上限の目安は、寄付の前に控除上限シミュレーターで確認できます。受給が終わった年は給与の月数が少なくなります。給与の見込みが住民税の非課税ラインに収まれば、上限はゼロです。

寄付を考える前に確認すること

生活保護を受けている人が寄付を検討するときは、税金とは別に、生活保護の側の確認が要ります。

  • 保護費の使い方: 寄付に保護費を使うことについて、今回確認した地方税法と生活保護法の条文には直接の定めが見当たりませんでした。保護費は最低限度の生活のための給付なので、担当のケースワーカーに事前に相談してください。
  • 返礼品の扱い: 返礼品を収入申告の対象とするかどうかは、公的な資料で確認できませんでした(未確認)。自己判断せず、福祉事務所に確認してください。
  • 1月1日の見込み: 年内に受給が始まる見込み、または終わる見込みがあるなら、翌年1月1日の状況を基準に考えます。

控除を受けられない年度に寄付すると、寄付額のほぼ全額を自分で負担することになります。返礼品の調達費は寄付額の3割以下と決められています。 控除がない状態で寄付すると、払うお金のほうが返礼品の調達費より大きくなります。3割の決まりの中身は3割ルールの記事で整理しています。

なお、2025年10月1日からは、ポイントを付与するサイトを通じた募集が総務省の告示で禁止されています。ポイントで差額を埋める方法も、現在は使えません。

すでに寄付してしまった場合

生活扶助を受けている期間に寄付してしまった場合、寄付を取り消せるかどうかは寄付先の自治体の判断です。申し込み直後なら、まず寄付先の自治体に連絡して確認します。手順は申し込みを間違えたときの記事で詳しく扱っています。

ワンストップ特例の申請書は、出しても控除が発生しないだけで、出したことによる不利益はありません。所得税を払っている年であれば、確定申告で所得税の分だけ戻せるかを確認します。

住民税が実際にどう処理されたかは、翌年度の住民税の通知書で確かめられます。見方は住民税決定通知書の記事で解説しています。

よくある質問

生活保護を受けていても寄付の申し込みはできる?

今回確認した地方税法と生活保護法の条文には、生活保護を受けている人の寄付を禁じる定めは見当たりませんでした。控除が受けられるかどうかは、申し込みとは別に、翌年1月1日の状況で決まります。

住民税非課税世帯なら、生活保護でなくても控除はゼロ?

住民税の所得割がかからない人は、住民税からの控除を受けられません。生活保護を受けていなくても、所得が少なく住民税が非課税になる人は同じ扱いです。社会人1年目で住民税がまだかからない人の考え方は社会人1年目の記事でまとめています。

均等割だけ払っている場合は?

均等割だけを払っていて所得割がゼロの人も、住民税からの控除は受けられません。地方税法第314条の7は、ふるさと納税などの寄附金の控除を「所得割の額から控除する」と定めています。所得割がゼロなら、差し引く相手がありません。

家族が生活保護を受けていて、自分は働いている場合は?

ふるさと納税の控除は、寄付した本人の税金から差し引かれます。自分に住民税の所得割がかかっていれば、控除は受けられます。ただし生活保護は世帯を単位として決まります(生活保護法第10条)。同じ世帯で保護を受けている場合、自分の収入も保護費の計算に関わります。寄付の前にケースワーカーへ相談してください。


生活扶助を受けている年度は、ふるさと納税の控除はほぼ受けられません。 境目は寄付した年の翌年1月1日です。控除額・上限額はあくまで目安で、個別の税務判断ではありません。迷ったときは、お住まいの市区町村の税務課や税務署、担当のケースワーカーに確認してください。

※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-09-26)。最新は総務省・各ポータル公式でご確認ください。

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