手続き・期限

ふるさと納税をした家族が亡くなったら|控除と準確定申告

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家族の遺品を整理していたら、ふるさと納税の受領証明書やワンストップ特例の控えが出てきた。控除はどうなるのか、何か手続きが要るのか。相続の手続きと重なる時期に、判断に迷う場面です。

先に答えを書きます。分かれ目は「いつ寄付したか」と「翌年の1月1日に生きていたか」の2点です。 住民税は1月1日に住所がある人にかかります。そのため亡くなった年の寄付は、住民税から差し引く先がなくなります。所得税の分だけは、相続人が準確定申告をすれば受けられます。

この記事でわかること

  • 寄付した時期ごとの控除の行方
  • 準確定申告で寄附金控除を受ける手順と期限
  • 支払い前・返礼品が届く前に亡くなった場合の考え方

結論|寄付した年と1月1日で分かれる

控除の扱いは、寄付した年が亡くなった年か、その前の年かで変わります。国税庁と自治体の公式情報をもとに整理すると、次の表のとおりです(2026-09-23確認)。

寄付した時期住民税の控除所得税の控除家族がすること
亡くなった年の前年まで亡くなった年度の住民税で反映前年分の申告で反映前年分が未申告なら準確定申告
亡くなった年受けられない準確定申告で受けられる準確定申告をするか判断

ふるさと納税 | 寄付した人が亡くなったとき

寄付した時期で変わる控除の行方

住民税は翌年1月1日に住所がある人にかかります

住民税の控除所得税の控除
前年までの寄付 1月1日は存命 ○ 亡くなった年度の住民税で反映 ○ 前年分の申告で反映
亡くなった年の寄付 翌年度は課税なし × 差し引く住民税がない △ 準確定申告で受けられる
  • ※国税庁 No.2022・No.1155、柏市・千葉市の公式情報をもとに作成(2026-09-23確認)

ふるさとくらべ

亡くなった年の寄付は、返礼品は受け取れても控除の大部分が消える形になります。上限の範囲で寄付していても「実質2,000円」にはなりません。 実質2,000円は、翌年度の住民税から控除されることが前提の数字だからです。

住民税は1月1日に住所がある人にかかる

個人の住民税は、その年の1月1日に住所がある人に、前年の所得をもとに課税されます。柏市の公式ページは、亡くなった人の扱いを次のように説明しています(2026-09-23確認)。

亡くなった年の所得については、翌年度の賦課期日(1月1日)現在にはいないかたとなりますので、翌年度の市民税・県民税は課税されません

2026年5月に亡くなった人を例にします。2026年1月1日には存命なので、2026年度の住民税はかかります。一方で2027年1月1日にはいないため、2027年度の住民税はかかりません。

亡くなった年度の住民税は、相続人が納税義務を引き継ぎます。千葉市の公式FAQによると、相続人は「納税義務を承継し、被相続人の残りの税額を納付」します(2026-09-23確認)。相続放棄をした場合は、この納税義務は引き継がれません。

亡くなった年の寄付は住民税から引けない

亡くなった年の寄付は、住民税の控除を受ける先がありません。ふるさと納税の住民税の控除は、寄付した翌年度の住民税から差し引く仕組みだからです。

国税庁によると、ふるさと納税の控除は3つに分かれます(No.1155・令和8年4月1日現在法令等・2026-09-23確認)。

  1. 所得税:(ふるさと納税額−2,000円)×所得税率を所得控除
  2. 住民税の基本分:(ふるさと納税額−2,000円)×10%を税額控除
  3. 住民税の特例分:1と2で控除しきれない額(所得割額の20%が上限)

2と3は、翌年度の住民税が課税されて初めて差し引かれます。翌年度の住民税が課税されない以上、控除の大半を占める2と3は受けられません。

ワンストップ特例を申請していても同じ

ワンストップ特例の申請が済んでいても、亡くなった年の寄付の控除は戻りません。総務省の説明では、ワンストップ特例は所得税からの控除が発生しません(2026-09-23確認)。控除額の全額を翌年度の住民税から差し引く仕組みです。差し引く先の住民税がないため、仕組み上、控除が反映される場所がありません。

目安の計算例

亡くなった年に3万円を寄付し、所得税率が5%だった場合の目安です。復興特別所得税は含めない概算です。

  • 準確定申告で受けられる所得税の軽減:(30,000円−2,000円)×5%=1,400円
  • 住民税の控除:翌年度の課税がないため0円

生きていて上限内で手続きを済ませた場合なら、28,000円が所得税と住民税から差し引かれる計算です。同じ3万円の寄付でも、所得税の分しか戻らない差があります。 実際の金額は所得や控除の内容で変わるため、正確な額は税務署か税理士に確認してください。

所得税の分は準確定申告で受ける

亡くなった年の寄付で所得税の控除を受けるには、相続人が準確定申告をします。準確定申告は、1月1日から亡くなった日までの所得と税額を計算して申告する手続きです。

国税庁 No.2022(令和8年4月1日現在法令等・2026-09-23確認)の要点は次のとおりです。

項目内容
申告する人相続人(包括受遺者を含む)
期限相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内
提出先亡くなった人の死亡当時の納税地の税務署長
添付するもの各相続人の氏名・住所・続柄などを書いた付表

寄附金控除を受ける場合は、寄附金控除の欄を書いた申告書に書類を添付するか、提出時に提示します。国税庁 No.1150 によると、書類は寄付先から受け取った受領証です(2026-09-23確認)。ふるさと納税なら、国税庁長官が指定した特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」でも代えられます。

準確定申告をするかの判断

準確定申告で寄附金控除を書いても、戻るのは所得税の範囲だけです。1月1日から亡くなった日までに所得税がかかっていなければ、控除しても減る税額がありません。

判断の材料は次の3つです。

  • 亡くなった年に給与や年金で所得税が引かれていたか
  • 事業所得などで、もともと準確定申告が必要な人だったか
  • 医療費控除など、ほかに申告で受けたい控除があるか

会社員が亡くなった場合、勤務先は年末調整をします。国税庁 No.2665 は、年の中途で年末調整をする人に「死亡によって退職した人」を挙げています(2026-09-23確認)。ただし、ふるさと納税は年末調整では控除できません。寄附金控除を受けるなら、年末調整とは別に準確定申告が要ります。

前年までの寄付は住民税で控除される

亡くなった年の前年までの寄付は、通常どおり控除が反映されます。亡くなった年の1月1日には存命なので、その年度の住民税が前年の所得をもとに課税されるからです。

前年分の手続きが済んでいたかどうかで、遺族の対応が変わります。

  1. 前年分のワンストップ特例か確定申告が済んでいた:亡くなった年度の住民税に控除が反映されます。遺族が控除のためにすることは基本的にありません
  2. 前年分の確定申告をする前に亡くなった:前年分も準確定申告の対象です

2の期限は、国税庁 No.2022 に書かれています(2026-09-23確認)。対象は、確定申告が必要な人が1月1日から申告期限までに申告せず亡くなった場合です。期限は前年分と本年分のどちらも「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です。前年分の準確定申告に寄附金控除を書けば、前年の寄付として扱われます。住民税への反映は、亡くなった人の住所地の市区町村の住民税担当に確認してください。

支払い前や返礼品が届く前の扱い

申し込み後・支払い前に亡くなった場合と、返礼品が届く前の場合は、扱いが分かれます。

申し込みだけで支払い前だった

寄附金控除は、実際に寄付金を支払った人が受けます。国税庁の質疑応答事例は、寄付の手続き中に亡くなり、相続人が寄付を履行した例を取り上げています(2026-09-23確認)。回答は「寄附金控除の適用を受けることができる者は、相続人となります」です。

根拠として「単に贈与契約が成立しただけでは『支出した』ことにはなりません」と書かれています。この事例は特定公益増進法人への寄付が題材です。ふるさと納税で支払いを引き継ぐかどうかは、先に寄付先の自治体に連絡して扱いを確認してください。受領証明書の名義が誰になるかも、自治体ごとに確認が要ります。

返礼品や定期便が残っている

未着の返礼品や定期便の残りの扱いは、全国共通のルールを公式情報で確認できませんでした。自治体ごとに対応が違う前提で、寄付先の自治体に連絡してください。

連絡のときに手元にあると話が早い情報は次の3つです。

  • 寄付した日と金額
  • 申し込んだポータルサイトと返礼品の名前
  • 寄付者の氏名と、連絡している人の続柄

ポータルサイトのマイページに寄付の履歴が残っていれば、寄付先の自治体名もそこで分かります。受領証明書が見つからない場合の再発行は、寄付先の自治体に依頼します。

遺された家族の今年の上限

遺された家族が自分でふるさと納税をする場合、今年の上限は家族自身の所得と控除で決まります。亡くなった人の分の上限を家族が引き継ぐ仕組みはありません。

配偶者を亡くした年の配偶者控除には、国税庁の説明があります(No.1191のQ&A・2026-09-23確認)。年の中途で控除対象配偶者が亡くなった場合は、亡くなったときの現況で要件を判定します。要件を満たせば、その年は配偶者控除を受けられ、月割計算もしません。亡くなった年の上限が、配偶者控除の分で急に変わるわけではありません。

夫と死別した後に婚姻していない人は、寡婦控除27万円の対象になりえます(国税庁 No.1170・2026-09-23確認)。要件の1つは、合計所得金額が500万円以下であることです。所得控除が増えると課税される所得が減るため、ふるさと納税の上限の目安は少し下がります。

家族自身の上限は、当サイトの控除上限額の計算機で目安を出せます。控除の条件が変わった年は、寄付の前に数字を出し直しておくと超過を防げます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 亡くなった年の寄付は損になるのか

控除の面では、住民税の分が受けられず、自己負担は2,000円を超えます。翌年度の住民税が課税されないためです(柏市・2026-09-23確認)。所得税の分は、相続人が準確定申告をすれば受けられます。

Q2. ワンストップ特例は取り消すべきか

亡くなった年の寄付では、取り消しても残しても住民税の控除は受けられません。ワンストップ特例は、控除の全額を翌年度の住民税から差し引く仕組みです(総務省・2026-09-23確認)。その住民税が課税されないため、控除が反映される先がありません。所得税の分を受けたい場合は、準確定申告で寄附金控除を記載します。

Q3. 準確定申告の期限を過ぎたらどうなる

期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(国税庁 No.2022・2026-09-23確認)。期限を過ぎた場合の扱いは状況で変わるため、亡くなった人の納税地の税務署に相談してください。

Q4. 受領証明書が見つからない

寄付先の自治体に再発行を依頼します。ポータルサイトのマイページで寄付の履歴を確認すると、寄付先の自治体が分かります。国税庁の特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」でも申告できます(国税庁 No.1150・2026-09-23確認)。

まとめ|遺族がすることの順番

ふるさと納税をした家族が亡くなったときは、次の順番で確認します。

  1. 寄付した年が、亡くなった年か前年までかを分ける
  2. 前年までの寄付は、前年分の手続きが済んでいたかを確認する
  3. 亡くなった年の寄付は、住民税の控除がないことを前提にする
  4. 所得税の分を受けるかどうか、準確定申告の要否とあわせて決める
  5. 支払い前の寄付や未着の返礼品は、寄付先の自治体に連絡する

準確定申告の期限は4か月と短く、相続の手続きと重なります。 迷ったときは、亡くなった人の納税地の税務署か税理士に相談してください。控除額はあくまで目安で、個別の金額は申告内容によって変わります。

※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-09-23)。最新は総務省・各ポータル公式でご確認ください。

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