住宅ローン控除とふるさと納税|ワンストップと確定申告どっち?
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最終確認日:2026-08-22
家を買った年に「ふるさと納税、今年はやめておいたほうがいいのかな」と迷う人はとても多いです。
迷いの正体は、たいてい2つに分かれます。ひとつは手続き(ワンストップ特例が使えるのか)、もうひとつは控除の取りこぼし(住宅ローン控除と重なって損しないか)です。この2つは原因がまったく別なのに、まとめて「併用は損」と語られがちで、それが混乱のもとになっています。
この記事では、まずあなたがどの手続きを選ぶことになるかを表で確定させてから、その根拠と、取りこぼしが起きる仕組みを順に見ていきます。分かれ目は「今年が住宅ローン控除の1年目かどうか」の一点です。
早見表|あなたが選ぶ手続きは、この表で決まる
まず結論の表です。左の列で自分の状況を見つけてください。
| あなたの状況 | ワンストップ特例 | やること |
|---|---|---|
| 今年が住宅ローン控除の1年目(入居した年) | 使えない | ふるさと納税も含めて確定申告でまとめる |
| 2年目以降で、住宅ローン控除は年末調整で済んだ。ほかに申告の用事なし | 使える(寄付先5団体以内) | 寄付ごとに申請書を提出(寄付した翌年の1月10日必着) |
| 2年目以降だが、医療費控除・副業など別の理由で確定申告する | 申告すると無効になる | ふるさと納税も確定申告に含める |
| 寄付先が6団体以上 | 使えない | 確定申告 |
「1年目は確定申告」「2年目以降は年末調整で済んだかどうか次第」。まずはこれだけ押さえれば、手続きで迷うことはありません。
ふるさと納税 | 住宅ローン控除がある年
1年目と2年目以降で、選べる手続きが変わる
ワンストップ特例が使えるかどうかが分かれ目です
| ワンストップ特例 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 入居1年目 住宅ローン控除の初回 | × 使えない | ○ 必須(寄付分もまとめる) |
| 2年目以降・年末調整で完結 ほかに申告の用事なし | ○ 使える(5団体以内) | △ しなくてよい |
| 2年目以降+別の申告あり 医療費控除・副業など | × 申告すると無効になる | ○ まとめて申告する |
- ※ワンストップ特例は「確定申告の不要な給与所得者等」かつ寄付先5団体以内が条件(総務省/2026-08-22確認)
ふるさとくらべ
根拠1|住宅ローン控除の1年目は、確定申告が必須だから
1年目にワンストップ特例が使えない理由は、ふるさと納税側のルールではなく住宅ローン控除側のルールにあります。
国税庁は住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の手続きについて、控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に書類を添付して所轄の税務署長に提出する必要があると説明しています(国税庁 タックスアンサー No.1213/2026-08-22確認)。一方で、給与所得者は2年目以後の年分は年末調整でこの控除の適用を受けることができるとされ、税務署から送られる控除証明書と年末残高等証明書を勤務先に出す形になります。
ここにふるさと納税のルールが噛み合います。総務省は、ワンストップ特例の申請ができるのは確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限るとしています(総務省「ふるさと納税の流れ」/2026-08-22確認)。
つまり1年目は、住宅ローン控除のために確定申告をする以上「確定申告の不要な給与所得者」ではなくなるので、ワンストップ特例の土俵に乗れないわけです。制度が意地悪をしているのではなく、順番の問題です。
1年目でも、ふるさと納税そのものは問題なくできます。 手続きが確定申告一本になるだけです。
やってしまいがちな失敗
いちばん多いのが、ワンストップ特例の申請書を出したうえで、住宅ローン控除の確定申告をしてしまうパターンです。この場合、出した申請は無効になります。無効になった状態で確定申告書に寄附金控除を書き忘れると、ふるさと納税分の控除がまるごと受けられません。
くわしくはワンストップ特例の後に確定申告すると無効?正しい直し方にまとめています。1年目に寄付する人は、最初から申請書を出さないか、出したうえで確定申告に必ず寄附金控除を書く、のどちらかに決めておくと安全です。
根拠2|同じ寄付でも、どこから引かれるかが変わる
もうひとつ知っておくと見通しがよくなるのが、手続きによって「税金のどこから引かれるか」が変わるという点です。
総務省の説明では、確定申告をした場合、ふるさと納税はその年の所得税から控除(還付)され、加えて翌年度分の住民税からも控除されます。これに対し、ワンストップ特例が適用される場合は所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が翌年度分の住民税から控除されます(総務省「ふるさと納税の流れ」/2026-08-22確認)。
ふるさと納税 | 税金の引かれ方の違い
ワンストップと確定申告では、控除の出どころが違う
住宅ローン控除とぶつかりうるのは「所得税」のほうです
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| ワンストップ特例 申請書を提出 | × 控除は行われない | ○ 全額が翌年度分から控除 |
| 確定申告 寄附金控除として申告 | ○ その年の所得税から控除 | ○ 翌年度分の住民税から控除 |
- ※総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」の記載にもとづく(2026-08-22確認)
ふるさとくらべ
住宅ローン控除は、まず所得税から引く制度です。そしてふるさと納税も、確定申告を選ぶと所得税に手をつけます。「併用すると損することがある」と言われるのは、この所得税という同じ財布を2つの制度が使うところから来ています。
「引ききれない」が起きる仕組み
住宅ローン控除は、所得税から引ききれなかった分が消えてしまう制度ではありません。引ききれなかった額は、翌年度の個人住民税から控除されるしくみが用意されています(総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方」/2026-08-22確認)。
ただし、この住民税側の受け皿には限度があります。総務省は、住民税から控除される額について、算出された控除額が**「前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円を限度)」を超えた場合には、控除額はその金額になる**と説明しています(2026-08-22確認)。居住年が平成26年から令和3年12月31日までで特定取得等にあたる場合は、**7%(136,500円を限度)**という別の枠になります。
自治体の案内でも同じ整理がされています。筑紫野市の住民税ページでは、居住開始が令和4年1月から令和7年12月までなら課税総所得金額等×5%・上限97,500円、平成26年4月から令和3年12月で消費税8%または10%の取得なら課税総所得金額等×7%・上限136,500円という区分が表で示されています(筑紫野市/ページ更新日2025-11-05・2026-08-22確認)。
ここが要点です。 確定申告でふるさと納税を申告すると、寄附金控除の分だけ所得税の計算のもとになる金額が下がります。所得税が下がるということは、住宅ローン控除が所得税から引ける余地も小さくなるということです。あふれた分は住民税に回りますが、上の5%(または7%)の枠を超えると、その超えた部分は使われません。
なお、所得税から引ききれない状況は特別なことではありません。総務省が載せている年末調整済みの人の算出例は、住宅ローン控除可能額が225,000円、控除適用前の所得税額が190,000円というものです(2026-08-22確認)。控除できる枠のほうが所得税より大きい人は、普通にいます。
とはいえ「必ず損する」わけではない
影響が出るかどうかも、出るとしてどのくらいかも、年収・扶養・借入残高・課税総所得金額など条件次第で変わります。所得税に十分な余裕がある人は、ふるさと納税をしても住宅ローン控除を引ききれてしまい、取りこぼしがまったく起きないことも珍しくありません。
ここは一般論で判断せず、必ず数字で確認してください。 各ポータルの詳細シミュレーションには「住宅借入金等特別控除額」を入れる欄があります。金額は源泉徴収票(2年目以降なら「住宅借入金等特別控除の額」の欄)で確認できます。正確な金額の判断は、お住まいの自治体の住民税窓口や税理士にご相談ください。
見落としやすい落とし穴|所得税が0円になる人
住宅ローン控除の額が大きく、年末調整の結果として所得税が0円になっている人は、もうひとつ気をつける点があります。
総務省は、ふるさと納税の控除についてこう注記しています。年末調整等により所得税が0円になっていて、住民税からのみ控除を受ける方は、住民税に関する申告書をお住まいの市区町村に提出する必要があります(2026-08-22確認)。
所得税が0円なら確定申告で還付されるものもないため、「申告してもしなくても同じ」と考えて放置してしまう人がいます。しかしそれをやると、住民税側の控除まで受けられないおそれがあります。この場合の申告先は税務署ではなく市区町村です。心当たりがあるなら、寄付する前に自治体の住民税担当に手順を聞いておくのが確実です。
ちなみに住宅ローン控除そのものについては、個人住民税の住宅ローン控除の適用にあたって市区町村への申告は不要とされています(総務省/2026-08-22確認)。所得税の側できちんと申告・年末調整をしていれば、住民税は自動で処理されます。混同しないようにしてください。
寄付する前に、まず上限の目安を出す
手続きの道筋が決まったら、次は金額です。住宅ローン控除がある年は、控除の枠に余裕があるかどうかで妥当な寄付額が変わるので、ここを飛ばして寄付するのはおすすめできません。
当サイトの控除上限計算機で、まずはざっくりした目安を出してみてください。そのうえで、住宅ローン控除の額を入れられる各ポータルの詳細シミュレーションで詰めると、二重チェックになります。いずれも目安であって、確定額ではありません。
目安が出て、寄付する金額の見当がついたら、返礼品を探す段階に進みます。
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローン控除がある年でも、ふるさと納税はしていいのですか?
A. できます。 制度上どちらか一方しか選べない、ということはありません。ただし1年目は確定申告でまとめる必要があり、条件によっては住宅ローン控除の一部が引ききれなくなることがあります。金額の目安を出したうえで判断してください。
Q. 1年目にワンストップ特例の申請書を出してしまいました。取り消しの連絡は必要ですか?
A. 確定申告をすればワンストップ特例の申請は無効になり、確定申告の内容で控除が計算されます。大事なのは、確定申告書に寄附金控除を必ず書くことです。自治体ごとに案内が異なることがあるので、不安なら寄付先の自治体に確認してください。手順はこちらの記事にまとめています。
Q. 2年目以降なら、ワンストップ特例と確定申告のどちらが有利ですか?
A. 一概には言えません。 ワンストップ特例では所得税からの控除が行われず全額が住民税から控除されるため、所得税の枠を住宅ローン控除のために温存できる形にはなります。ただし実際の差は課税総所得金額や借入残高で変わるので、詳細シミュレーションで両方の条件を入れて比べるのが確実です。なお、医療費控除など別の理由で確定申告をするなら、そもそもワンストップ特例は選べません。
Q. 住宅ローン控除の額はどこで確認できますか?
A. 2年目以降で年末調整を済ませているなら、**源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」**の欄です。1年目はまだ年末調整に反映されていないので、税務署に提出する計算明細書の金額で確認することになります。
Q. 上限を超えて寄付してしまったらどうなりますか?
A. 超えた部分は控除されず、自己負担になります。仕組みと対処はふるさと納税で上限を超えたらどうなる?で解説しています。
まとめ|今日やること
- 今年が住宅ローン控除の1年目なら、手続きは確定申告一本。ワンストップ特例の申請書は出さない(出したら申告に寄附金控除を必ず書く)
- 2年目以降で年末調整が済み、ほかに申告の用事がないなら、ワンストップ特例が使える(寄付先5団体以内)
- 住宅ローン控除は所得税から引き、引ききれない分は住民税へ回るが、課税総所得金額等の5%・97,500円(条件により7%・136,500円)という限度がある
- 所得税が0円になる人は、住民税に関する申告書を市区町村に出す必要がある
- 寄付の前に控除上限計算機とポータルの詳細シミュレーションで、目安を2つ出してから金額を決める
※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-08-22)。最新は総務省・国税庁・各ポータル公式でご確認ください。個別の税額の判断については、お住まいの自治体の住民税窓口または税理士にご相談ください。
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参考にした情報
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
- 総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/090929.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1213「住宅を新築又は購入した場合(住宅借入金等特別控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
- 筑紫野市「住民税における住宅借入金等特別税額控除について」 https://www.city.chikushino.fukuoka.jp/soshiki/12/3250.html