計算・上限

副業がある会社員のふるさと納税|上限とワンストップ

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最終確認日:2026-08-24


副業をしている会社員がふるさと納税で迷うポイントは、実はほぼ2つに絞られます。

ひとつは手続き(ワンストップ特例が使えるのか、確定申告になるのか)。もうひとつは上限(副業の分だけ枠が増えるのか)です。

この2つはよく一緒くたに語られますが、決まり方はまったく別です。手続きは「20万円」という国税庁のはっきりした線引きで決まり、上限は「住民税の所得割額」という別の数字で決まります。先に手続きを確定させてから上限を考えると、迷いがなくなります。


結論|見るのは「20万円」と「所得割額」の2つだけ

先に結論をまとめます。

あなたの状況手続き上限の目安への影響
副業(給与・退職所得以外)の所得が20万円超確定申告。ワンストップ特例は使えない所得割額が増えれば上がる方向。ただし要再計算
副業の所得が20万円以下確定申告は原則不要。ワンストップ特例が使える(寄付先5団体以内)動きは小さい。住民税の申告は別途必要
副業がアルバイト等の給与(年末調整されない)その給与収入と各種所得の合計が20万円超なら確定申告給与収入が増える分は反映される
副業が経費先行で赤字損益通算のため確定申告を検討下がることがある

ポイントは3つです。

  • 20万円は「収入」ではなく「所得」(収入から必要経費を引いた後の金額)で判定する
  • 確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になる(申請書を出した後でも同じ)
  • 副業があると上限が「必ず増える」わけではない。減る場合もある

以下、それぞれの根拠を見ていきます。


なぜ「20万円」が境目なのか

国税庁のタックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」に、条件がはっきり書かれています。原文の表現は次のとおりです。

「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」

「給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額の合計額が20万円を超える人」

(国税庁 タックスアンサー No.1900・2026-08-24 確認)

ここで読み間違えやすいのが2点あります。

1つめ。20万円は「所得」で見る。 副業がライティングやせどりのように必要経費が発生するものなら、判定するのは売上ではなく、売上から必要経費を引いた後の金額です。売上が30万円でも経費が15万円なら所得は15万円で、20万円は超えません。

2つめ。副業がアルバイトなど「給与」の場合は基準が違う。 給与は経費を引く形ではないため、上の2つめの条件のとおり「年末調整されなかった給与の収入金額」と各種所得の合計で見ます。本業と同じ感覚で「経費を引けば20万円以下」とは計算できません。

そして「20万円を超える人」という書き方なので、ちょうど20万円は超えていません。


確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になる

ここが副業をしている人の最大の落とし穴です。国税庁のタックスアンサー No.1155 には、次のように書かれています。

「確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります」

(国税庁 タックスアンサー No.1155・2026-08-24 確認)

つまり、先にワンストップ特例の申請書を出していても、後から確定申告をすればその申請は効力を失います。ここで「申請書は出したから大丈夫」と思って確定申告書に寄付を書き忘れると、控除がまるごと消えます。返礼品だけ手元にあって、控除はゼロという最悪の形です。

副業をしている人は、年末に近づくまで確定申告が必要かどうか確定しないことが多いのが厄介なところです。「たぶん20万円は超えないだろう」と思っていた副業が、年末の入金で超えてしまうケースは珍しくありません。

対策はシンプルです。

  • 超えるか微妙な人は、最初から確定申告する前提で動く(ワンストップ特例の申請書を出さない、または出しても申告に必ず含める)
  • 申請書を出した分の受領証明書は必ず全部とっておく(申告に切り替わったときに必要)

なお、ワンストップ特例そのものの条件は総務省の説明にあるとおり、「ふるさと納税を行った団体の数が5団体以内である場合に限り」使えるものです(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」2026-08-24 確認)。副業の有無に関係なく、6団体以上に寄付した時点で確定申告になります。

すでに申請書を出してしまった後の直し方は、ワンストップ特例の後に確定申告すると無効?正しい直し方で手順を追って説明しています。


20万円以下でも「宿題」は残る|住民税の申告

「20万円以下だから何もしなくていい」と考えるのは早いです。20万円の基準は所得税の確定申告についてのルールであって、住民税には同じ仕組みがありません。

複数の自治体が公式サイトで同じ趣旨の案内を出しています。

  • 大阪市:給与所得者(年収2,000万円以下)で給与所得以外の年間の所得金額が20万円以下である場合、所得税の確定申告は不要とされているが、市民税・府民税の申告は必要
  • 仙台市:所得税では給与所得以外の所得が20万円以下なら確定申告が不要とされているが、個人市県民税にはこのような制度がないため、副収入額の多少にかかわらず申告が必要

(各市公式サイト・2026-08-24 確認。名古屋市・横浜市・福岡市・神戸市も同趣旨の案内を掲載)

一方で、所得税の確定申告をした場合は、あらためて住民税の申告をしなくてよいと案内している自治体が多くあります。ただし取り扱いはお住まいの自治体のページで確認してください。

そしてもうひとつ、確定申告をする場合の重要なルールがあります。国税庁は No.1900 の関連Q&Aで次のように説明しています。

「この規定は確定申告を行わない場合についての規定であるので、確定申告を行う場合には、たとえ20万円以下の所得であっても申告に含めなくてもよいという規定ではありません」

(国税庁 タックスアンサー No.1900 関連Q&A・2026-08-24 確認)

つまり、医療費控除や住宅ローン控除1年目などの理由で確定申告をするなら、20万円以下の副業所得も申告書に書く必要があります。「20万円以下だから書かなくていい」は、確定申告をしない人だけの話です。


上限は「必ず増える」わけではない

副業の話になると「枠が増えるからたくさん寄付できる」と語られがちですが、増える方向に働くとは限りません。仕組みから見ていきます。

総務省の「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」によると、控除は3つの部分でできています(2026-08-24 確認)。

「(1) 所得税における控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」」

「(2) 住民税における控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%」

「(3) 住民税における控除(特例分) = (ふるさと納税額-2,000円)×(100% - 10%(基本分)- 所得税の税率)」

このうち(3)の特例分には住民税の所得割額の2割という限度があり、これが実質的に「上限額」を決めています。所得税の寄附金控除にも総所得金額等の40%という上限があります。

ここから導けるのは、上限を動かすのは所得割額であって「副業をしているかどうか」ではないということです。

  • 副業の所得が積み上がって所得割額が増えれば、上限の目安は上がる方向に動く
  • 副業の所得が数万円程度なら、上限はほとんど動かない
  • 開業初年度などで経費が先行して赤字になり、給与所得と損益通算した場合は、所得割額が減って上限の目安が下がることがある

「副業を始めたから去年より多く寄付できるはず」という思い込みが、いちばん危ないと言えます。実際には本業の年収の変動のほうが影響が大きいことも多く、副業の分だけを見て判断するのは避けたほうが無難です。

なお、ここで説明しているのはあくまで目安の考え方です。控除額・上限額は家族構成やほかの控除でも変わるため、正確な金額は源泉徴収票をもとにした詳細シミュレーション、またはお住まいの自治体の住民税窓口・税理士でご確認ください。

ふるさと納税 | 副業がある会社員

副業のタイプ別|手続きと上限の目安

20万円の判定と、上限が動く向きは別の話です

ワンストップ特例確定申告上限の目安
所得が20万円超(雑所得・事業所得) 経費を引いた後の金額で判定 × 使えない ○ 必要 △ 上がる方向。要再計算
所得が20万円以下(雑所得・事業所得) ちょうど20万円は超えない ○ 使える(5団体以内) △ 原則不要。住民税の申告は必要 △ ほとんど動かない
アルバイト等の給与(年末調整なし) 収入金額で判定する △ 合計20万円超なら使えない △ 条件により必要 △ 給与収入の分は反映
経費先行で赤字の事業所得 給与と損益通算した場合 × 申告すれば無効 ○ 損益通算のため必要 × 下がることがある
  • ※上限額は家族構成やほかの控除でも変わります。金額は必ず詳細シミュレーションで確認してください
  • ※住民税の申告の要否は自治体の案内で確認してください

ふるさとくらべ


寄付する前にやること|3ステップ

副業がある人は、次の順番で進めるとズレが出にくくなります。

ステップ1:本業の見込み年収を先に固める。 上限を左右する主役は本業です。出し方はふるさと納税の上限はいつの年収で決まる?見込み額の出し方にまとめています。

ステップ2:副業の所得を「経費を引いた後」で出す。 ここで20万円を超えるかどうかを判定し、先に手続き(ワンストップ特例か確定申告か)を確定させます。微妙なら確定申告前提で動くほうが安全です。

ステップ3:上限の目安を2つ出す。 まず控除上限計算機でざっくりの目安をつかみ、次にポータルの詳細シミュレーションで家族構成やほかの控除も入れて計算します。2つの数字が近ければ、その範囲内で寄付額を決めます。

上限の目安が出たら、そこではじめて返礼品を選ぶ段階です。


よくある質問

Q1. 副業の所得がちょうど20万円のときは、確定申告が必要ですか?

国税庁の条件は「20万円を超える人」なので、ちょうど20万円は超えていません。所得税の確定申告は原則として不要で、ワンストップ特例も使えます。ただし前述のとおり住民税の申告は別に必要です。金額が境目に近いときは、年末の入金で超えないか確認しておいてください。

Q2. ワンストップ特例の申請書を出した後で、確定申告が必要だと分かりました。

確定申告書に、申請書を出した分も含めてすべての寄付を書いてください。 国税庁が「ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります」と明記しているとおり、申告した時点で申請は無効になります。書き漏れると控除が受けられません。自治体に申請の取り下げ連絡をする必要は原則ありませんが、心配なら寄付先の自治体に確認してください。

Q3. 副業が赤字です。上限はどうなりますか?

給与所得と損益通算できる所得区分であれば、課税所得が下がり、結果として住民税の所得割額が減って上限の目安も下がることがあります。損益通算の可否は所得の区分(事業所得か雑所得か)で扱いが違うため、判断が難しい場合は税務署または税理士に確認してください。赤字の年に例年どおりの金額を寄付すると、上限超過になるおそれがあります。

Q4. 副業の所得が20万円以下なら、住民税の申告だけで済みますか?

ふるさと納税をワンストップ特例で処理し、ほかに確定申告の用事がなければ、住民税の申告のみという形になります。ただし医療費控除や住宅ローン控除1年目など別の理由で確定申告をするなら、そちらに切り替わり、20万円以下の副業所得も申告書に含める必要があります。自分がどちらになるか、年内のうちに決めておくと年明けが楽です。


まとめ|今日やること

  • 副業の所得を経費を引いた後で出し、20万円を超えるかどうかを判定する(副業が給与なら収入金額で判定)
  • 20万円を超える、または寄付先が6団体以上なら確定申告。ワンストップ特例の申請書を出していても申告に全部書く
  • 20万円以下でも住民税の申告は必要。確定申告をした場合は不要とする自治体が多いので、自治体の案内を確認する
  • 上限は「副業があるから増える」とは限らない。決めるのは住民税の所得割額で、赤字なら下がることもある
  • 寄付の前に控除上限計算機とポータルの詳細シミュレーションで、目安を2つ出してから金額を決める

※制度・数値は執筆時点のものです(取得日:2026-08-24)。最新は総務省・国税庁・各ポータル公式でご確認ください。個別の税額の判断については、お住まいの自治体の住民税窓口または税理士にご相談ください。

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